オーディオ自然空冷のススメ。
ゴールデンウィークも後半ですが、これからの季節は室温が高くなってきます。オーディオには厳しい季節。特に日本の5月~9月頃までは高温多湿な環境ですので、電子部品には厳しい時期。エアコンのON/OFFによる温度・湿度変化、平均気温の高さがヴィンテージハイエンド機には厳しい環境と言えます。

詳しい説明は省きますが…..A級パワーアンプなどでもファンがあったり、電源パワープラントなどにも自然空冷ファンがあります。外気を取り入れ対流を起こして熱を放出します。USA製のハイパワーアンプは本国ですと湿度がひじょうに低いため日本国内より過酷な環境ではありません(マニアの間では直輸入物の極上USED機が人気の秘密でもあります)。
パソコン用USBファンの流用 ノイズレベル約20dB迄が目安
PCオーディオ用のデスクトップパソコンを自分で作られた方はご存知かと思いますが、空冷ファンや水冷ファンが多数あります。ある程度の能力をもったデスクトップには4、5個以上のファンを付ける場合もあります。ノイズレベルが20dBなどのファンはオーディオ用にも転用できますね。25dB以上出るファンはNGです。パソコンもマザーボードがあり電源部があり、ハードディスク(SSD)、ICやコンデンサーが付いていますのでオーディオ機器となんら変わりません。パソコンの場合はソフトウェアでファンの回転数が決められます。CPUや各部の温度センサーもある程度自由に設定できます。
CDプレーヤーやプリアンプには基本的には装着されていませんが、筐体内部のトランジスタ周りには小型ヒートシンクが入っています。この時期だけはモデルによっては対策をおすすめします!
USB用ファン(DC5V)とAC100Vアダプターを用意するだけです。ファンは種類が多数ありますので容量や静音効果で選べば大丈夫です。
もちろんパワーアンプにも使用可能です。ラック内に入れているパワーアンプは特に熱が籠りますので、ラックから熱気を出すだけで随分変わります。筐体をアルミ削り出しにしているオーディオ機器は筐体自体がヒートシンクという考え方です。
A級アンプの冷却
下写真のKRELL KMA100は1台あたりの消費電力が400wでほとんどが『熱』となります。筐体状、底板・横から外気をファンで取り入れ、熱を天板から逃します。このラック内状態でも熱が相当に籠ります。ですので筐体の後ろから空冷ファンを充て熱をラック外へ出します。
レビンソンNo.20.5Lは左右のヒートシンクの放熱容量がすべてとなります。1台あたり400Wの自然空冷ですので、ラック内への設置は寿命を縮めます。ML2Lも同様です。この放熱容量が充分ではないため蓄熱し色褪せまで起おこります。出力部はヒートシンクの真ん中ですので遠目からファンを充てくまなく外気を当てるようにしています。これだけでも随分と違います。
さらに専用スタンドを製作し速度調整付きの大き目の空冷ファンで下から対流させる事で故障率はぐっと下がるはずです。
風の当て方ですが極端にオーディオ機器の一部だけが冷えるような当て方はNGです。さらに冬などは必要ありません。



一番上の写真のファンは真上や横置きなどが可能で21dBのノイズレベルとなります。実際に使用した場合は暗騒音もありほとんど気にならないレベル。
真空管アンプの冷却
真空管アンプは出力管がトランジスタと同じ動作をする事になり、発熱します。保護カバーがある場合、夏場だけでも外す事をおすすめします(メーカーでは推薦されていない事がございます)。プッシュプル等の場合は4本の真空管に万遍なく均等に充てる必要があります。遠くから充てるだけでも充分かと思います。
STUDER デスクトッププレーヤーの冷却
下の写真はSTUDER A730用パラレルスタンドと空冷ファン(ゴム脚付)です。初期型A730は底面にスリットがありません。こちらは4千番台のSTUDER A730で、スタンドだけでも自然対流が起こり温度は下がります。



オペアンプなどをチューニングしていくと発熱が上がりますので底面から風を送ります。5月~10月までエアコンと空冷ファンを用意するだけでオーディオ機器の故障率はグッと落ちるのではないかと思います。
ゴールデンウィークも後半ですが、簡単DIYでもいかがでしょうか?