トム・コランジェロのモジュールから脱却したML-7Lの整備録
Mark Levinson ML-7L (pre amp) maintenance
1980年 純粋なMark Levinson体制の最後のプリアンプとなるモデル。
アメリカやドイツ等の高品質&高級パーツがユニゾンしたML-7。
状態が良かった、ML7LのVishayカップリング・コンデンサー。
現在の中古オーディオ市場ではなかなか流通しなくなった、ML-7Lですが、本体の状態(内部パーツ)はとても良いもので、特に交流(音楽信号)が流れる部分にはドイツのレダーシュタイン製のMKC1862 M5(Vishay/Roederstein)メタライズド・ポリカーボネイド・フィルムコンデンサーが多数付いています。このいずれも規定値を確保していました。
本体部分はいずれも変更する必要はありませんでした。但し、取付方に問題があったため適正化しました。製造時に起きた小さなミスです。試しに適正化をしたところ、聴感上でも左右差がなくなり音場感やハイの混濁感が極めて少なくなりました。もしかすると、この時代のレビンソン社には製造管理や製造マニュアルがなかった可能性があります。アメリカのおばさん達が組み上げていた時期です。マドリガルやハーマン時代の製品ではなと思いますが、MLAS時代の音の魅力は企業規模が大きなるに従い薄れていくと言われています。
ML-7に使用されていた当時のVishay/Roederstein社のMKC1862 M5は、現在では400万円程のハイエンドプリのカップリングコンデンサーとしても採用される、優秀かつ信頼性の高いパーツです。このコンデンサーはプリアンプの音色を決めると言っても過言ではないパーツです。この部品の精度・状態がこれらプリの命と言っても良いのです。このML7のMKC1862 M5の計測値は10μFと規定値ですので劣化は一切ございません。
NG部分はPLS154電源部にありました・・・
PLS154電源部は新品時が100とした場合、20程度の性能!



PLS154電解コンデンサーは正常時150μFが6μです。通常コンデンサーの劣化具合は、容量が多く表示され、徐々に少なくなり最後に0となります。下の写真は0です。この状態でも音は出ていました。規定部品へ交換後は見ちがえる程シャープな切味と躍動感が得られました。






これから、数年をかけて徐々に抜けていく段階の数値です。
電源部ですので音色に関わる部分が本体のカップリング・コンデンサーより少ないとは言え、大きな信号入力によって電流を流しますので、アタックの力感や躍動感等の違いとなって個体差が出てきます。多くのPL-154S PL-153Sは同じ状況ですね。まだ整備されていない方はされて下さい。容量が抜けきった電解コンデンサーが多数ございます。またリレー部の劣化も見られました。
上は取り外した後の汚れたボリュームノブですが、現在新品同等の状態です。154電源部は常時通電が常ですのでTrの絶縁シートも相当劣化しています。モトローラTrですがボロボロになった絶縁シートを放熱効果が高いシリコン製シートへ交換しました。これだけでも多少ですが寿命は延びます。



放熱性能も高いものです。
Mark Levinson ML-7Lに搭載された高品質パーツの選択がながく使われる理由
片CH分の歪率ですが充分な数値で、このML-7Lは左右CHで差がない状態となりました。今後当分は安心してメインコントロールアンプとしてご使用できるかと思います。
音は整備前とは格段の差が出ています。整備前もそれなりに良かったと思ってましたが、やはり電源部の力感やVishay(Roederstein社)カップリングコンデンサーの正確な取付で緻密な音の密度においてクオリティが元通りに戻ったML-7Lは今のハイエンドプリとも渡り合えます。モジュールは固めていないため部品の劣化はありませんでした。経年したモジュールは純正と同じように整備することも可能です。
現在トム・コランジェロ設計のViola Cadenza他が在庫中のためじっくり聴き比べをしてみようと思います。
この整備は最低限のもので、本来のUSED Mark Levinson ML-7Lの音が評価でき、現在の製品と比較できる試聴が可能です。これは一個体ですので、他のML-7LのVishay/Roedersteinの状態次第で音が異なるという事が出てきます。
たったこれだけの整備で終わった事は、品質の高いパーツを1980年代に選択していた設計者の良心が見える製品です。
現在は中古Mark Levinsonの状態を確認するためレストアをしています。市場に流通している多くの中古レビンソン機が似たような状況でしょうね。今後は他ブランドのアンプ等も扱わせて頂きます。
ML-2Lの整備関連は、Audio Dripper TOKYOへ移行しております。
マークレビンソン、Celloの買取について ⇒
Mark Levinson機はどんな状態の個体でも買取し、必ず整備やレストアを行い、レビンソン製品がお好きな方が多数いらっしゃいますので、ご紹介せて頂きます。Cello社製品も同様に国内トップクラスでの買取が可能です。状態の良い場合や付属品が完備している場合は、正統な評価を行い当日即金で増額させて頂きお支払いたします。
■MARK LEVINSON・マークレビンソン プリアンプ(買取保証額)
当社オーバーホール整備品はさらにUPします
LNP-2L ¥880,000.~ ¥1,000,000.~【直近整備品・モジュールなどによって変わります】
ML-6 ¥620,000.~ ML6Lも同様
ML-1L ¥270,000.~
JC-2 ¥270,000.~
※モジュールをお知らせ頂けると幸いです。不動作品や直輸入品もご相談ください。
ML-7L ¥320,000.~
No.26SL ¥380,000.~
No.26L(BAL) ¥300,000.~
No.26L(BASIC) ¥260,000.~
No.32L ¥850,000.~ 直近2019年7月 ¥970,000買取
N0.380SL ¥220,000.~
■Mark Levinson No.31L,No.31.5L リファレンスCDトランスポート
No.31.5L ¥400,000.(元箱なし・美品)
No.31L ¥320,000.~
■No.30L,No.30.5L,No.30.6L リファレンスDAコンバーター
No.30.6L ¥400,000.~
※付属品や整備履歴、塗装等の状態で変わります。上記保証価格は正常動作&美品。 極上な個体はさらに買取り額がアップします。
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ML-2L(トロイダルモデル) ¥340,000~
ML-2L(EIコアモデル) ¥380,000~
ML-2L(EIコアエキポシモデル)¥430,000~
※動作品での最低買取保証価格です。要整備品もお取扱い可能ですのでお問い合わせください。
その他Mark Levinson パワーアンプもプリ同様の買取価格となります。
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測定器は下記一部他Fruke DMMは現在20台完備。