憂鬱なOLD Mark Levinson 整備録 ~4~
OLD Mark Levinson ML-2L(mono power amp)maintenance MONO音出し計測
2016.8.3 現在
Mark Levinson ML2L(4台:2set内1セットご予約)、
Marklevinson No.20.6L1セット、No.27L、26L2台 在庫中 ⇒
アメリカンサイズのアイスクリームのようですが、ML-2Lに搭載されています、
SPRAGUEのコンデンサーをうらめしそうに持つ神の手・・・・
『替えたい欲求ですよ(規格外!の容量が付いたコンデンサー)』
ML-2Lの底面パターン。真ん中が出力段があるブロックでレギュレータボード等々はリア側です。
構造がわかりやすいですね。SPRAGUEの下に鉄板のようなプレートが直結され、信号経路は非常にコンパクトです。
もしMX-Rのような削出ブロック筐体に入れると、ML-2Lは1台700万円程するかもしれません。
もしマニシングマシーンで、約50×30×60cm四方のアルミの塊から削り出し、トランスやコンデンサー類、
ボード類すべてを削り出した小部屋に格納してヒートシンクもアルミから削り出して冷却効率を数倍高めれば、
間違いなく世界一壊れない、ぶっちぎりで世界最高のML-2Lが完成します。
どなたかチャレンジされたい方はいますか?いらっしゃたら、その熱いご要望にお応えいたします。
この状態でDMMを15個並べてML-2Lサービスマニュアルと格闘する、まさにカオスですね。。。
この中で一番お安いのがML-2Lだというカオスです。
壁一面が小粋な機械とジャングルのようなケーブルが並び、とてもお洒落な一葉!
Mark Levinson ML-2Lのモノ音出し動作確認
Mark Levinson ML-2Lの整備はモノラル状態で実際に音を出し動作チェック中です。4台の内1台はほぼ満足できる状態まできました。ML-2Lのあらゆる箇所の電圧/電流の計測値から、かなり良い状況が見えてきました。下の写真はは12.5W時の実質S/N比です。聴感上充分なレベルです。



Class A ML-2L、夏の耐久パワーレース。
これから本格的な夏の時季を迎えます。Aクラスアンプにとっては一番過酷な動作状況を迎えます。普段に乗る自動車や道路を走るスーパーカーでも車検整備ではディーラーで点検整備をします。一般道を素人が仮に250Km/hで走ったところで車への負荷は大したことないんですね。しかし今時期のレースとなるとその過酷さは、通常走行の数年分にあたります。一般車は数周で足元から壊れます。ですので、レーシングファクトリーで整備を徹底的に行います。車検で駄目になった部分を交換する作業だと夏場は3周もたないでしょうね(笑)。20周でも走り続けるにはそれ相応の準備が必要です。
極端な例えですが、ML-2L等のアンプの理想を目指して生まれたパワーアンプは、上の例に近い状況ではないかと思います。6つあるヒートシンクの内、左右2つのヒートシンクが出力段となり、25W(実出力38w)のために他は奉仕するだけにあります。現状の熱量はやはり凄まじい事で約350wが常時熱として変換し空中へ消えていく設計です。Max1500wのパワーアンプもございますが、連続での実測値はそれ程ではありません。しかもトランジスタが数十個付いた守りの設計です。2つ、3つ働かなくてもその変化は分からないかもしれません。気が付くとぼやーっと聴きやすい音になっています。
A級アンプの夏は耐久レースさながらの状況になりますので、現在良い音で鳴っていると思われる方は、夏の間の数か月だけは、心涼やかなアンプをご用意する事をおすすめします。またKrellのA級アンプや一部のPass Labo、一部のAyre、一部のViola、EARのPP.A級アンプなども可能な限り夏の発熱対策を一番にお考え下さい。パーツの劣化速度は熱による部品自体の膨張振動の繰り返しが主な原因です。
筐体自体がヒートシンクの役割をするアンプ等は、夏の間は重ねたり狭い空間で使用する事はしないようにするだけで、良い音が聴ける時間が確実に延びます。良い音がするアンプの目安は発熱量が高い事は昔も今も変わっていません。
製造から数十年経ったヴィンテージ・ハイエンド機器の部品は国内では揃いませんので、世界中から直で輸入しないと全く揃わない現状です。パーツによっては輸入時に制限があり、使用用途や使用者を問われる場合もあります。その作業すら根気が入るんだけど、と泣きが入っていますが、あと3台あり調整という山があります。
ML-2Lの整備録で書かせて頂いている事はごく一部で、わかりやすいように単純化しております事を御承知おきください。
STUDERに関しては音楽制作のプロの方やオーディオ販売のプロの方にもお聴き頂き、入荷品(一般中古品)~通常整備品~フル整備品の音の差を明確に、瞬時に判断頂いていますので、Mark Levinsonに関しても同様のレベルで整備に当っています。他ヴィンテージ・ハイエンド製品が入荷した場合もレストアを試みようと思案中です。
こちらのML-2Lにも多数のお問い合わせを頂き誠にありがとうございます。
以降は、Audio Dripper TOKYOで整備録5が続きます。