Roberto Olzer / THE MOON AND THE BONFIRES / Sawano

Roberto Olzer / THE MOON AND THE BONFIRES / Sawano

Roberto Olzer / THE MOON AND THE BONFIRES / Sawano

Roberto Olzer(p)
Yuri Goloubev(b)
Mauro Beggio(ds)
リリース:2015.11.27

 

Artesuonoスタジオで録音され、マスタリングまで行われた盤。

1トラック目の「Beautiful Love」からPearl製のシンバルがまるで見えるようなクオリティなので、

聴きながら、数えてみました^^) チャイナシンバルが4枚?クラッシュ、ライドの各サイズ、

打ち方のバリエーション等、映像を見るようなイメージと生々しさを保ちミキシングされてます。

この1曲のリムショットだけでも演り方が4,5種聴き分けできます。

硬質感たっぷりなシンバルのヘソあたりやエッジでリズムキープするサウンドも効いてます。
(先日のお客さまの試聴盤がAMAZONで本日届いた盤….聴き込みは浅いのでお許しを!)

 

アルバム前半は甘い叙情的なテーマが多いので、リズムキープの硬目なシンバルはスパイスの役割。演奏の良さというより制作サイドの抜群なセンスが活きています。思い出したのがAlboran Trioの一連の作品です。私的にはこの演奏を続けられると厳しいです(笑)
ECMのMarcin Wasilewski Trioにも似ていますが、こちらは本質的にはリリシズムがたった辛口。Marcin Wasilewski(p)の和音は一聴流麗ですが、古典的かつガツっと来るブロックコードがジャジーだったり、数年前のライヴ演奏をみる限り、がっぷり組んだ演奏が多い。一方、Roberto Olzer(p)はハーモニックでリリカル。特に左手は主旋律と対位法のようなハーモニーを生み出しYuri Goloubev(b)のベースとユニゾンさせています。好き嫌いの分かれ目は、主旋律に対する従順な美しい和音や調性が行き届いたサウンドでしょうか。

ピアニストのRoberto Olzer、はじめて聴いた時は曲想の翳り具合から東欧のピアニストかと思いましたが、イタリア出身なんですね。聴き進むうちにクラシックピアノをベースとした演奏者なのかと思います。Roberto Olzerのピアノを補うのが、Mauro Beggio(ds)の硬質で多彩な音色のドラムス、特にシンバル!ダサく収録されていたら、駄盤!Stefano Amerioが信じられない程クリアに、叩き方、響線、場所、種類まで映像の如く仕上げています。どんな調整不足のシステムでもパッケージの良さは伝わるクオリティ。

「Ich will meine Seele tauchen」のブラシサウンドとベースの空間性はオーディオ的にも聴き応えあり!6トラック目の「Muirruhgachs, Mermaids, and Mami Wata,Wrapped Around Your Finger」は11分で変拍子が入りアグレッシヴさが際立つアレンジ。Roberto Olzer Trio はトリオフォーマットとしてはスペースがあるのでその分、ベース、ドラムスが引きたちます。6曲目以降は相当攻め込んだ仕上がり。50年代コルトレーンのテーマがモチーフとなったりしてキャッチーな演奏もあります。

ラスト曲「Charisma」はクラシック音楽とエキゾチックなテーマ&様式がアレンジされ、さらに変拍子がミックスされ、緩急が繰り返されるワイドな仕上がり。この辺りのコンポジション(音楽の構成)は1960年代以前ではまったく生まれていない発想。私的にこのトリオの面白さは後半トラック。

Stefano Amerioサウンドスケープ

さて、このアルバムの影の立役者はArtesuonoオーナー兼エンジニアのStefano Amerio(ステファノ・アメリオ)。このあたりのピアノトリオをディープに聴かれる方は御存じでしょう。試聴室にも彼が携わった作品は30枚程あります。

スタジオにあるマイクの多くはNeumann製でManley製の真空管マイクもあるようです。
面白そうなのがマイクプリで「Horus System」というもの。A/D・D/A変換が行えPro Tools HDX・HD3 Accelへ簡単に接続可能との事。アメリオ曰く「極めて高い透明感と高い分解能」が特質だそうです。だからと言って、Yuri Goloubevのベースが痩せ細ると言う事はなくヴィンテージ・マイクを通した温度感を保った音。胴鳴りするちょい前の空気がふっと動く様子もリアルパッケージされています!

アメリオ・サウンドのハード面での鍵は真空管マイクと最先端のデジタルプリかもしれません。
あまりの緻密さに人工的と聴こえる場合もあるかもしれませんが、LIVEでは聴く事が難しい世界。
こういう音(音楽)はオーディオでしか楽しめないクオリティかもしれません。

スピーカーはホーン型にこだわる必要はありません。だからと言ってArtesuonoと同じジェネレックの1038等ラージモニターにする必要もありませんね。聴感上のS/Nが高く歪感が少ないハイエンド系スピーカーでもいいでしょうね。週末イタリアのソナスとWILSON AUDIO SYS5で聴いて追記します^^

この盤はお客さまの試聴盤で音質は極めて良い盤です。演奏も前後半のレンジが良く、楽しめます。冬の夜長に小音量でも愉しむことができる盤。

演奏曲
1. Beautiful Love
2. La bella estate
3. Bibo no Aozora
4. Ich will meine Seele tauchen
5. Le Vieux Charme
6. Muirruhgachs, Mermaids, and Mami Wata,Wrapped Around Your Finger
7. Little Requiem
8. Seaward
9. La luna e i falo
10. Adagio (from Piano Concerto)
11. Charisma

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